フィッシャーマン・ジャパン研究所

森里海の繋がり in 蛤浜

宮城県石巻市

BACKGROUND

石巻市蛤浜は、世界三大漁場の一つである牡鹿半島の付け根に位置する、湾奥の小さな浜です。シャコやマダコ、ヒジキなどの沿岸資源を対象とした漁業が営まれており、湾口側では牡蠣の養殖が盛んに行われています。

しかし、2023年には黒潮の大蛇行の影響で、例年よりも5度以上高い水温が観測されました。特に浅い湾奥に位置する蛤浜では著しい海水温の上昇が見られ、シャコやマダコの漁獲がほとんどなくなり、湾内の牡蠣養殖も大打撃を受け、5割以上がへい死する厳しい状況に見舞われました。

また、環境の変化は海だけに留まらず、陸上にも影響を及ぼしています。牡鹿半島は山と海が非常に近く、蛤浜の周囲にも植林されたスギを中心に多くの木が生育していますが、適切な間伐が行われていないためにスギは過度に茂り、木々が細くなり倒木が目立つ状態になっています。

地元の漁師である亀山さんによると、30年前には4本の沢が湾に流れ込み、夏でも冷たい沢水で遊べる環境がありましたが、沢は次第に枯れ、近年は大雨の後だけ水が流れるだけになりました。

このような変化を前に、現在の海や山がどのような状態にあるのかを正しく理解した上で、未来に向けた持続可能な水産業の形、そして漁村の暮らしを考えていく必要があります。

PROJECT TASK

フィールドは海と山。両方のモニタリングを開始

現状をより深く理解するため、東北大学の藤井先生、青木先生と共に、海と山のモニタリングを定期的に行っています。

海のモニタリングでは、CTDと呼ばれる観測機器を使用して海水温やクロロフィルなどの海洋環境の測定を行っています。また、海水中に含まれるDNAを分析して生物の生息状況を調査するほか、海底泥の微生物叢の分析も行っています。加えて、ドローンボートを使って藻場の状況を把握する試験を始めています。

陸のモニタリングでは、森や沢の状況別に、土壌を採取して微生物叢の分析を行っています。今後は、土壌の地温や水分量を常時記録するためのロガーの製作を計画しています。

データドリブンな森林整備

海洋環境を直接変えることは難しいですが、陸域においては人の手を入れやすく、改善の余地があると考えています。

桃浦・蛤浜エリアでは、林業を営む(同)もものわが「海のための森づくり」を掲げ、密集したスギ林の間伐を進めています。また、地元漁師の亀山さんが代表を務める(一社)はまのねでは、枯れ木などで塞がれた沢の流路を改善するワークショップを開催し、沢の流れを元に戻す活動を行っています。

これらの取り組みを通じて陸域がどのように変わり、海がどのように改善されるかを調査しながら、トライ&エラーで環境の保護と改善を進めていくことを目指します。また、環境省の「地域循環共生圏づくり支援体制構築事業」を受託し、地域企業と連携しながら取り組みを展開しています。

現場の声を正しく伝える

企業研修や学生向けのスタディツアーのプログラムを整え、蛤浜の海や山、水産業や林業の現状、そして漁村地域での暮らしを伝えています。

気候変動や生物多様性保全の取り組みは世界的に重要視されていますが、実際の現場を知り、自分ごととして捉えることは容易ではありません。多くの企業や研究機関がその対策を模索されている中で、私たちは地域の課題や取り組みを発信し、共に未来に向けて歩んでいきたいと考えています。

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MEMBER

  • 一般社団法人はまのね / 漁師
    亀山貴一
  • 合同会社もものわ
    森優真
  • 合同会社もものわ
    森佳代子
  • 東北大学 大学院農学研究科 沿岸生物生産システム学分野 准教授
    藤井豊展
  • 東北大学 東北メディカル・メガバンク機構 ゲノム解析部門 助教
    青木裕一

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